トロッコ問題

こんにちは。今日はとあるクイズについて紹介します。

まずは「臓器くじ」という問題。

あなたは医者で、6人の急病患者が運ばれてきました。その内、5人は同じような病で、Aという装置を使えば一度に5人を治療することができます。しかし、残った一人は別の病でBという装置を使う必要があります。このAとBの装置、医者はあなたしかいませんので、同時に使うことはできません。つまり、5人を助けるか1人を助けるかという選択をしなければなりません。どちらかの治療を選んだ場合、もう片方の治療を行わないといけない患者は亡くなってしまいます。さて、あなたはどうすべきですか?(患者との関係性(患者が知り合いであるなど)は無視して考えてください)

 

この設定であれば、5人を助けるという選択肢を選ぶ人が多いのではないでしょうか。自分も5人を助ける選択をすると思います。

じゃあその理由は?

救える数が多いというのが理由になると思います。命はみな等しいという考えであれば、その合計が多くなる方を選ぶというのは自然というか、そうなってしまうものだと思います。

 

じゃあ、次の問題はどうでしょうか。

あなたは医者で、5人の急病患者が運ばれてきました。彼らはそれぞれ異なる臓器をすぐに移植しないと亡くなってしまう状況です。その時たまたま健康な人が近くにいて、あなたはその人に麻酔をかけて、臓器を取り出して5人に移植しました。結果健康だった一人は亡くなり、5人は命を取り留めました。さて、医者であるあなたの行為は良い行動であったでしょうか?

 

この問題であれば、あなたの行為は良くない行動であると考える人が多いのではないでしょうか。この場合、医者は一人の命を奪う「殺人」を行っているからという理由で。

 

でもちょっと考えてみてください。①と②の中身はかなり似通っています。どちらも5人の命を助けるか、1人の命を助けるかという面では同じではないでしょうか。

しかし、多くの人は(自分も含めて)①での5人を助ける行為と②での5人を助ける行為に対する評価が反対になるのではないでしょうか。これはなんでなのでしょうか?

 

自分が納得した答えは次の通りです。

①と②では医者の行った行為の性質が異なるから。

 

具体的に説明すると、①の医者の1人に対する行為は、「救わなかった」という行為です。これに対し、②の医者の1人に対する行為は、「殺める」という行為になります。①での医者はより多くの人を助けるため、1人を「救わない」という選択とっていますが、②での医者は多くの人を助けるため、1人を「殺める」という選択をとっています。ここが決定的に異なるため私たちは②の医者の行為を認められないのですね。

こう考えれば、①と②は全く違うことを言っていると説明できますね。

 

この問題は「論理パラドクス」という本に紹介されていました。興味があれば下記のリンクからアクセスできるので本を手に取ってみてください。

 

 

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